『鍋つかみ』
〜リレー小説〜(完全な虚構)
1/12 更新  




  馬井某こと、馬井アレックス(本名) は、草原のただ中にいた。
 「ここは…、どこだ……」
 アレックスは、村上★樹の小説の主人公のごとく、呟いてみたが、容姿がサラサラヘアーの伊○院光なのが、ある意味、別の効果を生み出していた。

 唐突にアレックスの後方で、どさっという物音がした。
 草むらに鉄球が落ちたような音だ。
 振り向くことを躊躇したが、仕方無しに自分の後ろで何が起こっているのか確かめることにした。

 案の定、人間が落ちていた。
 それは、若い男だった。背格好は、青年男子の平均くらい。顔はよく見えないが、髪の毛はエメラルドグリーン、今時の若い奴は…といった色をしている。
 「死んだかな?」
 アレックスはそう思ったが確かめる気にはならなかった。飛び降り自殺する人は地面に落下する前に気圧に耐えられずに死んでいると以前耳にしたし、めんどくさい事になりそうな気がしたからである。

 しかし、何もない草原でどこから落ちてきたのだろう。

 しぶしぶ青年の首筋に手をあて脈を計ろうとしたとき、おもむろに緑頭が起き上がった。
「ニンゲンノ カッコシトルト トビニクウテ カナワン デモナントカ ツナゲラレタ ヨウヤナ」
 アレックスには意味ふめいな事を片言関西弁で青年はしゃべった。

BY もるこ

馬井は一目見て、この青年が遠い星からやってきたストレンジャーであることを察知
した。
こいつを捕獲すれば一攫千金も夢ではない。馬井は金と科学に魂を売った外道であ
る。
「逃す手はねぇ。」
馬井は己のコスモを爆発させた。
「おとなしくテレ朝に来い。久米さんに報道してもらおう。」

二流科学者である自分には手に負えないと判断した馬井は、
尊敬する久米さんに全部お任せしようとしたのだが、
彼の最近のイヴニングはといえば、日本製の某ネットゲームにはまっており、
彼の部屋のTVは専ら一面の黒を映し出しているだけで、
平日よる9:54からのアレがフルタチに替わったことなど、馬井には知るよしも無かっ
た。

「ナ、ナニシトンネン、ワレェ!!」
抵抗する青年を押さえつけ、馬井は青年に得意技のローリングサンダーを喰らわせ、
気絶させた。
しかも、気絶した後も2秒ほどスタンガンでダメ押しする非道さである。
こんな男、死んでしまえばいいのに。(筆者談)

ぐったりとした青年をかついで歩きながら、馬井はふと思った。
「ここどこだっけ。。。」

しかし馬井はマッドサイエンティストである。
彼の体内にはちょっと特殊なGPS(Global Positioning System)が埋め込まれてお
り、
「今どこだい?」と、心の中に棲むもう一人の自分にやさしく語りかけると
「○○だよ、もうひとりのボ・ク(はぁと)ボクはいつでも君と一緒。」と、現在地
を教えてくれるのだ。
科学の進歩とは我々一般人の想像をはるかに超えているのです。

馬井は語りかけた。
すると
GPS「音威子府村だよ。」

「?」

GPS「北海道。」

「ああ〜、草原だもんね。」



「ナメんな!」

馬井は六本木ヒルズめがけてダッシュした。

By ドンホルモン

 音威子府村から、六本木ヒルズはとにかく遠い。
 2時間、走って馬井はそう感じた。
 そのため、馬井は走るのをやめ、自慢の金運UPの黄色い財布を取り出し、中身を確認するのであった。
 飛行機代を捻出できるかどうか、確かめるためにである。
 現金は1万飛んで54円。
 マッドサイエンティストの金銭感覚は意外と常識を逸脱しないことに驚かされるかもしれないが、普段は雇われ教師の身を考えると、それも致し方が無いことである。常識が無ければ、生徒が着いて来るはずが無い。
 
 そんなわずかな金しか持っていない馬井を尻目に、インド洋ではカジキマグロがサンバのリズムで泳いでいた。

 そんなサンバのリズムを刻むカジキマグロを尻目に、アフリカ大陸、最南端の喜望峰では、ペンギンが自分のかわいさをアピールするために、お尻をふりふり挑発しながら歩いていた。

 要は、そんな平和な時代なのである。マットサイエンティストといえども、常識という枠内でないでしか、マッドサイエンスができない時代なのだ。
 まわりの期待を裏切ってはいけない。
 世界のありとあらゆる動きは優しさという名の足かせをはめられ、身動きがとれない状態なのである。
 不良が優しい一面を見せると、なんだかグッとくる、そのような無邪気な矛盾に、さいなまれながらカジキマグロはステップを刻む。
 気の抜けたコーラは、ストイックな格闘家に好まれ、コーラというパンクな飲み物に、健康志向というひどくブルジョワジー的思考が流入し、世界のセレブが高笑いをあげる。
 つまり、ダイエットコーラが誕生している現代社会は、すべての野性味を飲み込んでしまっているのではないか。
 全てが軟弱化しているのである。
 Big City Tokyo はこんな世界を背景に、一体、僕に何を訴えかけているのであろう…

 このような一連の高尚な考えを反復させながら、馬井は六本木を目指す。
 タタタッタ
 1万円では、飛行機に乗れないので、とどのつまり走ることにした。
 東京までの距離は気に掛かるところではあが、それでも足を止めることはない。
 何故なら走っている最中に
 「六本木に行く途中の靖国通り沿いの人気ラーメン屋で、この背中に乗せている青年に一杯のラーメンをご馳走してやろう」
 そんな楽しいことを考えていたので、あまり苦にはならなかったからである。

 馬井は、サディスティックな方法でしか、今まで人を愛すことができなかったが、この青年と出会った、ほんの2時間で、こんなにも繊細な男へと変化していった。
 しかしながら、この変化は、馬井本人に重大な誤算を生む結果になることは、今の馬井には知る由もないことである…
 そんな、ドラマ仕立ての台詞が頭をよぎり、馬井をニヤつかすのである。 

By ツヤオ

わき腹が痛む。そういえば運動会とかの前に「ごぼう」とか食物繊維質が豊富なものは食べちゃだめよってママが言ってたっけ、へへっ。
馬井は今朝、きんぴらとこんにゃく、ホイコーロー、ニラレバ炒めを、ファイブミニで流し込んだ馬鹿であった。阿呆であった。包茎大学.com
そんなんで走ったものだから、わき腹には消化不良の瓦斯がたまり、ニュアンス的には「溜まりまくりマクリスティ」
なわけである。痛いわけである。
「はひょう、フブー。」
息使いがとんでもないことになってる。
「ま、まずはやまとん(本土)に行かないと・・・。」
馬井はアホなりに身体機能をフルに活用し、つまりは
食物繊維を体内プラントにて糖に変換して、ハイブリッド走法(今考えた)によって超効率、低燃費で加速度的に速度を速めて大爆走した。放屁ごとに100`進んだ。
今や彼は風である。
景色が後方にぶっ飛ぶにつれて、過去のトラウマや、消し去りたい過去、借金2000万なども頭脳から消えていくのがわかった。青函トンネルを一陣の風が通過し、あとにきな臭さが残った。青森では林檎が被害を受け、岩手では
牛タンが飛ぶように売れた。秋田ではなまはげが死体で発見されたが、身元はまだわかっていなかった。
「ふはは、風だ、ボクは今、ハリケーンだ。」
馬井は東北新幹線を尻目に、さらに関東地方へと南下していった。
茨城に入るとどこかのヤンキーが、「いばらぎじゃないよ、いばらきなんだよぅ」と豆知識を披露していたが他のみんなは脳がすかすかだったのでよくわかっていなかった。
「うほっ!東京さのにほいがしてきったっぺすぅ!」
馬井が北海道で最初に屁をこいて10時間、奇跡的に彼は六本木ヒルズ射程圏に迫りつつあった。これもジャンピングシューズのおかげだ。もう一人のマッドサイエンティストに感謝しつつ、馬井はついに東京入りを果たした。
「やった!やればできるんだ!夢は叶うもんじゃない!
叶えるものだから・・・。(ここは泣くところです)」
六本木ヒルズを目指すなら、東京タワーが目印になる。
馬井はデート前に東京ウォーカーで調べた知識をもとに一路東京タワーを目指した。今日デートなんだぁ★死ねボケがっ!!
解脱したはずの、過去の忌まわしき記憶が頭をよぎったその時、馬井はふと我にかえった。なんか背中軽くね?
「がびょーーーん!ぎょええええええ!ずっこけ!」
案の定馬井は同乗者をこの日本の何処かに置いてきちまったわけだが、リアクションが古いのはご愛嬌。
「馬鹿!俺の馬鹿!死ね!俺!」
馬井は自分のマッドぶりを呪った、呪詛した。
「せっかくこうして東京タワーにたどり着いたというのに・・・。」
・・・・。
アレっ?


馬井の目前に聳え立っていたのは「田端タワー」
だったとさ。チャンチャン。

By REMIX

「田端タワー…略してタバタワーか…。」 馬井は苦々しげにつぶやいた。 彼にはいくつものトラウマのうちの一つが、ここタバタワーにあったのだ。 それはあえて語らないでおこう。 ここで一句 「就活に 必要なのは 運と縁」 馬井は、タバタワーのリクルート採用の時の第一関門、一句読めと言う議題にこう読 んだのだ。 そして、第一選考通過。 一次面接で落ちた。それは馬井の容貌を想像していただければ一発でわかるだろう。 あ、語ってちゃったじゃんね、結局。 そろそろお薬のお時間だよ〜〜。 と肩の上のもう一人の僕が馬井に話しかけた。 そうだね。バファ★ンは優しさでできているんだものね! そして、懐からバファ★ンを2錠飲みほすと、さっきまで担いできた緑頭の奴がいな くなっていることに気がついた。 そして、自分のハートまで盗まれていることに気がついてしまったのだ!

BY モルコ

「なんだか、苦しいわ。。」 馬井本人も、自らの胸の奥でくすぶる淡い思いに戸惑った。 かの青年をこんなにも愛してしまうなんて。 「カラダを置き去りに、ハートだけ持ってっちゃうなんて、罪な人!極刑に値する!」 馬井の淡い思いはやがて怒りへと変貌を遂げ、なんと馬井の身体にも変化をもたらした。 それはそれは何ともおぞましい姿だった。 まず、体中の皮膚という皮膚はツブツブ、もしくはブツブツに覆われ、目は鼻になり、口は目になり、鼻は花になりけり。 耳はひとつ増えて3つになり、ワキ毛とスネ毛が絡まり、はりきればはりきるほど空回った。 全身からは食欲をそそるゴマ油の芳ばしい香りが漂っていた。 そんなこともあり、馬井とすれ違った人たちは皆「今夜は中華が食べたいね」ってことになり、結果として外食産業の活性化に大きく貢献することとなる。これはごく自然な流れではあるが、その経済効果は数千億円ともいわれている。 このことについて馬井は「まったくの偶然です。でも日本経済に貢献できたことは素直に嬉しい。」とコメントしている。 一方その頃ワルシャワでは、本日のメインカード「白鳥兄弟 VS カバandハクビシン」のゴングが今まさに打ち鳴らされようとしていたのであった

By ドンホルモン


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